日刊 あおのうま Vol.743(2012.11.29) – まあ普通 –

投稿者: | 2012/11/29

便利屋 と 信頼

職場のお話。

最近は細かな仕様変更やバグ修正の依頼が、飛び込みでよく入ります。
幾つか細かい要望をヒアリングして解決したところ、どうも「あの人には頼みやすい」という評価を頂いている様です。

 

裸の王様にならないために

現場はじめエンドユーザーとの接点が多い社内SEやシステム担当は、この「頼みやすい」ってのが結構重要なポイントになります。

あまり「頼みやすい」が過ぎると、便利屋扱いされて使い潰されます。
かといって、エンドユーザーとの接点を持たず、システムの方ばかり向いていると、信頼を得られず、運用実態や本当のニーズを知らない、裸の王様ならぬ裸のシステム屋になります。

 

ちょとした工夫

便利屋と裸の王様、どちらも避けたいわけですが、私は基本的に便利屋寄りのスタンスを取るようにしています。
裸の王様タイプは、何かあった場合に誰も助けてくれない上に、本人のあずかり知らないところで悪評を立てられていたりするからです。

無論、ただ便利屋の様に立ちまわると、先にも述べたように使い潰されてしまうので、ちょっとした工夫をしています。

今日は、その中から4つ5つほど思いつくままご紹介。 *01【4つ → 5つ】2012.11.30 大事なことが1つ抜けていたので、追記。

 

1.話はとにかく全て聞く

持ち込まれた話は、とにかく全て聞くようにしています。

ユーザーさんは「聞いてもらった」という、その一事が何より大事です。
話も聞いてくれないシステム屋に頼みごとやニーズを打ち明けてくれる人はいないのです。

ですから、どんな小さな内容であっても、とにかく話は聞きます。
その際、走り書きで良いので、必ずメモは取りましょう。

これは、相手に対して「ちゃんと話を聞いているな」という印象を持ってもらえることと同時に、言った言わないの水掛け論や過去の依頼事項をひっくり返されることを防ぐエビデンス(証拠)にもなります。

メモだいじ。

 

2.その場で期限を確認する

話を聞いたあとは、「それ、期限はいつまでですかね?」と期限を確認します。

そうすると、大概の場合「そんなに急がないんだけれど」と前置きが付いて、それなりに余裕を持った期限が提示されます。
たまに「じゃあ明日まで」とか無茶を言う人もいますが、その場合は丁寧に「ちょっとそれは厳しいですね」と伝えて、可能な期限をこちらから提示します。

こうすることで、こちらも明確なスケジューリングが可能になりますし、相手にも「仕事を頼んだんだ」という重みを意識させることができます。

小さなことでも、それらしく。

 

3.予防線を張る

さて、期限を設定したら、予防線を張りましょう。

「もし間に合いそうにない場合は、○日前に連絡入れますね」と相手に伝えます。

これにより、他に重要度が高い案件が飛び込んできた場合などに、調整してもらう余地が生まれます。
事前に「間に合わない場合も想定しておいてくださいね」と暗に匂わせておくわけです。

お客さん相手や、システムの稼働自体に関わるミッション・クリティカルな案件は別として、普段持ち込まれる様な案件は「待ったなし!」ということは殆どありません。

もちろん「連絡を入れる」と言った以上、本当に間に合いそうにない場合は、必ず連絡を入れることが絶対条件です。
これもエンドユーザーとの信頼関係を築く大事なポイントです。

単に直前になって「すんません、間に合いそうにありません」と泣きを入れるのと、事前に「間に合いそうにない場合は連絡入れますね」と伝えておいた上で「ごめんなさい、ちょっと厳しいので調整を…」と伝えるのとでは、大きく印象が違うものです。

コケる場合も考えておく。

 

4.マメに顔をつないでおく

面倒事は大概が頼みもしないのに、やってきます。
しかもだいたい不意打ちかつ最悪のタイミングで。

ところが、普段からマメにユーザーさんの元に足を運び、「困ったことありませんか?」と御用聞きに回ると、そのタイミングをある程度こちらでコントロールすることが可能になります。

問題も小さなうちに発見・対処できますし、ユーザーさんも普段ろくに顔も合わせない人より、ちょこちょこ顔をだす人の方が、あれこれと話をしてくれます。

出来れば曜日や時間帯を決めて、定期的に顔を出すようにするとベストです。

「顔見知り」ってのは何かと有利。

 

5.ダメなときは向こうから取り下げる様に持って行く(2012.11.30 追記) *02【追記】大事なことが抜けていましたので追記。

持ち込まれる案件には「さすがにこれはダメだわ…」ってのもあります。
内容的に困難だったり、期限的に厳しかったり、こちらの余裕がなかったり。

そんなときでも、1で挙げた様に、とにかく話は聞きます。
なるべく遮らず、相手がひと通り話し終えるまで。

その上で、こちらの状況を説明し、相手に「あー、そんならまた今度ヒマなときにでも」と言ってもらえるようにします。

その際、障害となるハードルは、なるべく簡潔に、かつ相手の協力があれば解消可能(かもしれない)形で伝えると効果的です。

ただ、こちらの事情ばかりを列挙すると「何コイツ、ダメ出しばっかじゃねぇか…」と思われますが、相手の話をしっかりと聞いたあとで、こちらの状況を簡潔に説明すると、結構納得してもらえるものです。

しかも、そのハードル解消には相手の協力が要る(形で伝える)。
そうなると、誰でも面倒ごとを共有するのは嫌なので、引き下がるケースが大半なのです。

また、もし相手が乗り気になり、そのハードル解消に動いてくれたとしたら。
それこそ断る理由はありません。

それだけの誠意と覚悟を持って、案件を持ち込んでくれたのですから、全力を以って応えましょう。

 

結局、普通の仕事と一緒

こうして見ると、普通の仕事と、どこも変わりませんね。
或いは、要点だからこそ仕事の内容を問わず汎用的に応用可能ということでしょうか。

さらに、これらを遺漏なく回すために、職場でMOLESKINE やらEvernote やらOutlook やらOmniFocus やらあれこれ利用しているわけです。
それを更に突っ込んで書くと良いのでしょうが、考えてみたら、これ「日刊」の記事なんですよね。
気がついたらえらいボリュームに…。

そんなわけで、続きはまたの機会に。
気が向いたら。

 



 

脚注

脚注
01 【4つ → 5つ】2012.11.30 大事なことが1つ抜けていたので、追記。
02 【追記】大事なことが抜けていましたので追記。

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