パズドラのドロップ選択に見るユーザビリティ

投稿者: | 2012/08/21

 

ドロップの選択ミスは、イラっ!とする

5個消しなどのややこしい操作をするとき。
動かすドロップを間違えると、イラっとしますよね。

「ちゃうねん!赤じゃなくて青を動かしたかってん!!」
って感じで。

 

パズドラに見るユーザビリティ

しかし、パズドラには、そんなイラッとする操作ミスを予防する工夫が、ちゃんと施されていました。
言われなければ気づかない様な小さな工夫ですが、そのユーザビリティに感心したので、ご紹介。

ごめんなさい。
小難しい横文字言葉を使いました。

「ユーザビリティ = 使いやすさ」と思っておいて下さい。

 

選択したドロップは、ちょっとだけ浮き上がった感じで表示される

ドロップを操作する場合、動かすドロップを指で押さえたまま、ぐりぐりと動かします。

この時、動かしたいドロップを押さえた状態で指を止めてみて下さい。 *01【押さえた状態で指を止めて】
iPhone 基本操作の1つ「タップ&ホールド」ってやつです。

指の下で、選択したドロップが浮き上がった様な画像になっているのが見えるはずです。

選んだドロップが浮き上がって表示されています。

 

動かさずに指を離せば、ターンは消費されない

さて、ここでドロップを動かさずに、そっと指を画面から離してみて下さい。
浮き上がって表示されていたドロップは、なにごともなく元に戻るはずです。

当然、ターンも消費されていません。

 

動かす前に、ちょっと確認すればミスは防げる

自分がこれから動かそうとしているドロップは、ちゃんと狙ったドロップか?
動かす前に、ちょっと確認すれば、それを知ることができます。

もし、違うドロップを選択してしまっていたならば、そっと指を離して、選び直せばよいわけです。

 

ユーザビリティの肝

私は、このドロップ選択における表示に、ユーザビリティの肝を感じました。

万全というわけではない

パズドラのユーザビリティは決して万全というわけではありません。

例えば、手持ちのモンスターをしまっておくモンスターBOX。
このBOXを拡張して枠数が増えてくると、下の段から上の段に戻るのがとても面倒です。

これに対して、iPhoneアプリの基本的な約束事のひとつに、こういうのがあります。
「画面最上部のツールバーをタップすると、一気に画面の最上段に移動する」

しかし、パズドラのモンスターBOXはこれを実装していないようです。
いちいち画面上段までスクロールさせて戻らねばなりません。

 

なぜドロップの選択には気を使うのか?

iPhone の基本的な約束事すら実装してないパズドラが、なぜドロップの選択には気を使うのでしょうか?

それは、ドロップの選択は勝負を分けるポイントだからでしょう。

モンスターBOXのスクロールが多少面倒でも、ゲームの大勢には影響ありません。
しかし、ドロップの選択ミスは状況次第で勝負の分かれ目になります。

自分が選んだつもりのないドロップを選択してしまい、挙句にバトルに負けてしまったらユーザーはどう思うでしょう。
とても不満に感じると思います。

 

納得を用意する

ドロップは選択された状態だと、浮き上がって表示されている。

この小さな違いは、下手をすると気付かない様な小さな工夫です。
しかし、そこには「ユーザーの納得」を獲得する大きな意義が込められています。

人間は自分のミスであれば、それを受け入れやすいものです。
「あのとき、ちょっとドロップの色を確認しておけば…」というのと、
「あのとき、確かにあのドロップを選んだはずなのに!」とでは、「納得」の度合いが全く違います。

そして、ゲームに限らず納得のできる仕組みに、人は好意をおぼえます。
私はこれこそがユーザビリティの肝だと考えます。

納得できる操作性。
それがパズドラのドロップ選択に見たユーザビリティなのです。

 



 

脚注

脚注
01 【押さえた状態で指を止めて】
iPhone 基本操作の1つ「タップ&ホールド」ってやつです。

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