日刊 あおのうま Vol.1671(2015.10.25)【フィクションだってばよ】

投稿者: | 2015/10/25

捻れ と 歪み

B社はA社の子会社です。

B社はA社からの請負業務で成り立っています。

さて、B社で働く「私」の主な仕事はA社のX部門からの請負案件です。

その請負金額は年額固定で支払われています。

親会社と子会社の間で締結されるだけあって契約内容は非常にアバウトです。

いつまでに、何を、どれだけ、といった定量的な項目がほぼありません。

「私」を年間まるまるA社X部門に専従させる時間を設定して、それに対して時間幾らで契約しているのです。

結果、発注元であるA社X部門は、なるべく色々な案件を「私」にさせたがります。

そらそうです。

払う金額が決まっているなら、なるべく使い倒した方がお得だからです。

逆に受注先であるB社は、なるべく「私」がX部門から受ける仕事は少なくして、空いた時間を他部門の案件に回させようとします。

そらそうです。

貰う金額が決まっているなら、なるべく手間を掛けずに済ませて、浮かせた労働力を他所に回した方が稼げます。

さて、間に挟まれた「私」はどうすれば良いのでしょうか。

顧客であるA社X部門の要望に応えれば応えるほど、A社X部門からの評価は上がります。

そして、次々と新たな案件にアサインされます。

ですが、それは結果としてB社における自分の評価を下げてしまいます。

「私」の上司からすれば、「金にもならない仕事を受けやがって」というわけです。

では、B社の(上司の)意向に沿ってA社X部門の仕事は「そこそこ」にこなして、他部門の案件を積極的にこなせば良いのでしょうか。

ですが、その場合はA社X部門から持ち込まれる案件に「お断り」を入れるのは「私」なのです。

上司ではありません。

結果、従来と比較して相対的に「私」に対するX部門からの評価は下がります。

「なんだ、以前はやってくれたのに…」というわけです。

何より(そして最も本質的な事は)A社X部門の仕事を「そこそこ」で切り上げて他部門の仕事を頑張っても、「『私』のB社における待遇には全く影響しない」と上司から明言されていることです。

間に入ってデリケートな立ち回りをこなした挙句に、待遇に影響しないと名言されて誰がそこにモチベーションを抱くでしょうか。

こうして、メインのクライアントと所属外社の間における評価の捻れによって、「私」の行動は歪みを抱えて行く事になります。

ですが、この構図というのは決して珍しいものではないですよね。

払う側は少しでも安く済ませたい。

貰う側も少しでも高く売りつけたい。

その結果生まれた平衡点が「私」の立ち位置だったというだけなのです。

皆さんも多かれ少なかれ、似たような状況に立たされた経験はお持ちの事でしょう。

さて、「私」はこれからどうするのが最善手でしょうか。

幾つかパターンが思い付きますね。

皆さんなら、どうされますか。

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